人材開発支援助成金というのは、会社が従業員にその職業能力を高めるための訓練をすることに対して支給される助成金で、7つのコースがありますが、その中の3コースについてご紹介します。

特定訓練コース(若年人材育成訓練)

特定訓練コースはさらに7種類の訓練に分類されています。事業主の立場で使えるのはないかと検討した結果、若年人材育成訓練が使えそうなので、この訓練に限定してご紹介します。他の6種類が気になる方はハローワークでパンフレットを入手して、それらの内容をご確認ください。

適用するケース ・入社してから5年以内で35歳未満の無期雇用契約の従業員に訓練を実施した場合。

・訓練はOFF-JTにより実施され、訓練時間は10時間以上であること。
(OFF-JTとは会社の仕事をすることによる訓練ではないもので、OJTとは会社の仕事をすることによる訓練のこと)

助成額(1人当たり) ・経費助成 訓練にかかった費用の45%(60%)、上限は50万円。

・賃金助成 訓練時間1時間当たり760円(960円)、上限は1,200時間。

( )内の数字は、前年度の生産性とその3年後の生産性を比べて6%以上伸びた場合に支給される金額。今から約2年後に追加申請することで、そのときに差額(15%、200円)が支給される。

補足 ・この場合のOFF-JTは自社内で、自社の従業員が指導しても良い。ただし、指導を担当する従業員は当該訓練の内容について10年以上の実務経験が必要。
申請方法 (1)訓練実施計画届と必要な書類を労働局またはハローワークに提出。(訓練開始1ヶ月前まで)

(2)予定通りOFF-JT訓練を実施。

(3)支給申請書と必要な書類を労働局またはハローワークに提出。(訓練終了後2ヶ月以内に)

※書類の提出は簡易書留や特定記録郵便で郵送可、書類の到着日が受付日となる。初めての申請は、書類一式を郵送ではなく、労働局かハローワークの窓口に提出するのが無難。書類の不備などを指摘してもらえるので、その場で修正して提出できる。

コメント ・この助成金に関してのOFF-JTは「企業の事業活動と区別して行われる訓練」と定義されている。つまり顧客に提供する料理や商品もしくはサービスに直接かかわることのない研修と考えればよく、会社が従業員を雇用した際に普通に行っている行為である。若手従業員の研修費用を経費と人件費の両面から助成してもらえるようなものなので、メリットは大きい
申請書類(所定の様式)の
ダウンロード
※以下は厚生労働省のホームページにリンクしています。クリックして表示させてから、印刷もしくはダウンロードもできます。

■訓練実施計画届を提出する際に必要な所定の様式一式
・提出書類のチェックリスト
・人材開発支援助成金 訓練実施計画届(訓練様式第1号)
・年間職業能力開発計画(訓練様式第3-1号)
・訓練別の対象者一覧(訓練様式第4号)
・人材開発支援助成金 事前確認書(訓練様式第12号)
・OFF-JT講師要件確認書(訓練様式第11号)

■支給申請書を提出する際に必要な所定の様式一式
・提出書類のチェックリスト
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
・支払方法・受取人住所届
・人材開発支援助成金 支給申請書(訓練様式第5号)
・賃金助成・OJT実施助成の内訳(訓練様式第6ー1号)
・経費助成の内訳(訓練様式第7-1号)
・OFF-JT実施状況報告書(訓練様式第8-1号)
・支給申請承諾書(訓練様式第13号)
・生産性要件算定シート(共通要領様式第2号)

 

特別育成訓練コース(有期実習型訓練)

特別育成訓練コースはさらに3種類の訓練に分類されています。ここでは有期実習型訓練が使えそうなので、この訓練に限定してご紹介します。

適用するケース ・有期契約の従業員にキャリアコンサルティングを行い、ジョブ・カードを作成したうえで訓練を実施した場合。ただし、過去5年間に通算3年間以上正規雇用されたことがないことなどの条件がある。申請をするにあたり、キャリアコンサルティングの実施やジョブ・カード作成方法についての相談を労働局にするとともに、適用条件についても訓練を実施しようとする従業員が制度に適用するかどうか事前に確認したほうが良い。
・訓練はOFF-JTとOJTを組み合わせて実施でき、実施期間は2か月以上6か月以下であること。
・訓練時間は6か月あたりの時間数に換算して425時間以上であること。
・訓練時間に占めるOJTの割合が1割以上9割以下であること、
など。
助成額(1人当たり) ・経費助成 訓練にかかった実費、上限は30万円。 ※OFF-JTで訓練時間が200時間以上の場合

・賃金助成 訓練時間1時間当たり760円(960円)。 ※OFF-JTの上限は1,200時間、OJTの上限は680時間まで

( )内の数字は、前年度の生産性とその3年後の生産性を比べて6%以上伸びた場合に支給される金額。今から約2年後に追加申請することで、そのときに差額(200円)が支給される。

補足 ・この場合のOFF-JTは自社内で、自社の従業員が指導しても良い。ただし、指導を担当する従業員は当該訓練の内容について10年以上の実務経験が必要。
申請方法 (1)訓練実施計画届と必要な書類を労働局またはハローワークに提出。(訓練開始1か月前まで)

(2)予定通りOFF-JT訓練を実施。

(3)支給申請書と必要な書類を労働局またはハローワークに提出。(訓練終了後2か月以内に)

※書類の提出は簡易書留や特定記録郵便で郵送可、書類の到着日が受付日となる。初めての申請は、書類一式を郵送ではなく、労働局かハローワークの窓口に提出するのが無難。書類の不備などを指摘してもらえるので、その場で修正して提出できる。

コメント ・この助成金に関してのOJTは会社の仕事をさせながら訓練するということ、つまり「有期契約の従業員の人件費は、上限の680時間までの時給が毎時760円助成される(上限516,800円)」ということなので、メリットは非常に大きい
・OFF-JTにおける経費助成も上限はあるが、実費が助成されるというのも助かる。
申請書類(所定の様式)の
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※以下は厚生労働省のホームページにリンクしています。クリックして表示させてから、印刷もしくはダウンロードもできます。

・提出書類のチェックリスト

訓練実施計画届を提出する際に必要な所定の様式一式
・特別育成訓練コース(有期実習型訓練)計画届(様式第1-2号)
・事業所確認票(様式第6号)
・ジョブ・カードの様式
・有期実習型訓練に係る訓練カリキュラム(様式第1-2号(別添様式1))
・有期実習型訓練に係る訓練計画予定表(様式第1-2号(別添様式2))
・OFF-JTの講師要件を確認する書類(様式第1-1(別添様式3))

支給申請書を提出する際に必要な所定の様式一式
・支給要件確認申立書(共通要領様式第1号)
・支払方法・受取人住所届
・人材開発支援助成金(特別育成訓練コース)支給申請書(様式第5号)
・特別育成訓練コース内訳(様式第5号(別添様式1))
・賃金助成及び実施助成の内訳(様式第5号(別添様式2))
・経費助成の内訳(様式第5号(別添様式3-1))
・OFF-JT実施状況報告書(様式第5号(別添様式4-1))
・OJT実施状況報告書(様式第5号(別添様式4-2))
・ジョブ・カードの様式
・承諾書(様式第5号(別添様式7))
・生産性要件算定シート(共通要領様式第2号)

 

建設労働者技能実習コース

助成金制度に関しては、特に建設業の事業主に対して手厚い助成があります。それらの中で最も使えるのが、「建設労働者技能実習コース」です。雇用する建設労働者に技能実習を受講させた建設事業主等に対して、経費と賃金の両方の助成金が支給されます。

適用するケース ・雇用する建設労働者(雇用保険被保険者)に対して、登録教習機関等で行う技能実習を受講させた場合。ただし、通常通りかそれ以上の給与を支払うことが条件。登録教習機関等は労働局の指定があり、下記の厚生労働省のホームページへのリンクから確認できる。

・登録教習機関一覧(都道府県別)

助成額(1人当たり)
※雇用する雇用保険被保険者の人数が20人以下の場合
・経費助成 技能実習にかかった費用の75%(90%)、上限は1種類の技能実習につき1人あたり10万円。

・賃金助成 1日あたり7,600円(9600円)。

( )内の数字は、前年度の生産性とその3年後の生産性を比べて6%以上伸びた場合に支給される金額。今から約2年後に追加申請することで、そのときに差額(15%、2000円)が支給される。

補足 ・助成額の上限は年度ごとに500万円
・労働局が指定した登録教習機関等を利用しないで技能実習を実施する方法もあるが、計画届の提出などの手順が加わり、煩雑になるので、ここでは紹介しません。現状では登録教習機関等を利用して申請するケースがほとんどです。
申請方法 (1)技能実習を実施

(2)支給申請書と必要な書類を労働局またはハローワークに提出(技能実習終了後2ヶ月以内に)

※書類の提出は簡易書留や特定記録郵便で郵送可、書類の到着日が受付日となる。初めての申請は、書類一式を郵送ではなく、労働局かハローワークの窓口に提出するのが無難。書類の不備などを指摘してもらえるので、その場で修正して提出できる。

コメント 従業員の技能実習の費用を経費と人件費の両面から助成してもらえるようなものなので、メリットは非常に大きい
申請書類(所定の様式)の
ダウンロード
※以下は厚生労働省のホームページにリンクしています。クリックして表示させてから、印刷もしくはダウンロードもできます。

・提出書類のチェックリスト (千葉労働局のチェックリストが分りやすい)

■支給申請書を提出する際に必要な所定の様式一式

・人材開発助成金 支給申請書〔建設事業主用〕(建技様式第3号)
・助成金支給申請内訳書(建技様式第3号別紙1)
・支給要件確認申立書(共通要領 様式第1号)
・支払方法・受取人住所届(帳票種別 32850)
・事業所確認票(建技様式第3号別紙3)
・生産性要件算定シート(共通要領様式第2号)